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セム語系3民族が活躍した前13c
地中海東岸で活躍したセム語系3民族をご紹介します!
地中海東岸とは?
まず、地中海東岸ってどこだよ?
ということで場所の確認をしましょう!

このイタリアやギリシャなどの南部、リビアの北部にある海が地中海です。
地中海東岸とは現シリアやレバノン、イスラエルなどがある、今揉めに揉めている地域です(・_・;)
ここで活躍した3民族は後世に大きな影響を残すことをしているので非常に重要です。
アラム人(セム語系遊牧民)

アラム人とは、前12c〜前8cにシリアを中心に活躍した民族です。
彼らはラクダを使って内陸の都市同士を結ぶ内陸貿易で活躍し、現シリアのダマスクスを中心に繁栄しました。
彼らは西アジア中で交易活動を行ったため、いつの間にか彼らの使うアラム語が国際商業語になっていきました。
当時のアラム人の圧倒的な商業力を感じますね。その後のアラム文字はアラビア文字やヘブライ文字の原型となります・・・。
フェニキア人(セム語系)
次にフェニキア人です。彼らも前12c頃から交易、特に地中海交易を独占して繁栄しました。(あの広い地中海を紀元前から独占って・・・凄い)
彼らは海洋貿易で発展したので海洋都市を地中海東岸にいくつも作りました。代表的な都市はシドン・ティルスです。
フェニキア文字

さらにフェニキア人が使用したフェニキア文字は後にアルファベットの原型となります!
フェニキア文字が前8cからギリシャ人に受け入れられたことで、ギリシャ語に用いられ、次第に西洋の様々な文字に使われるようになります。
英語にフランス語にドイツ語にイタリア語に・・・全て、アルファベットが基本です!
ヘブライ人(セム語系)

さて陸のアラム人、海のフェニキア人ときたら・・・空のヘブライ人と続けたいところですが、宗教のヘブライ人です(笑)
ヘブライ人はユダヤ教という宗教を生み出した民族です
(ちなみにヘブライ人は他称で、自称はイスラエル人。バビロン捕囚後、ユダヤ人と呼ばれ始めます)
わかりやすく言えば、ユダヤ教の1宗派がキリスト教であり、キリスト教の1宗派がイスラム教みたいな感じです。
そしてユダヤ教には唯一神ヤハウェしか神はいないとしています。
つまりユダヤ教もキリスト教もイスラム教も、信じる神は全てユダヤ教のヤハウェに集約されます。同じ神を信じながら、イスラエルで聖地をめぐって争っているわけです
出エジプトとユダヤ教の成立

ヘブライ人はもとは遊牧民で、その一部がエジプトへと移住します
しかしユダヤの歴史は迫害の歴史とも言われるように、ヘブライ人はエジプトのファラオによる圧政を受けます
そこで旧約聖書の有名な物語の一つ「出エジプト」が起きるのです。エジプトの圧政から脱出しよう!ということです。
前13c頃、モーセが唯一神ヤハウェからの預言者として、ヘブライ人をエジプトからパレスチナへと導きます。彼が杖で海面を一突きすれば、轟雷とともに海が割れ道を作ったという伝説が有名ですね。
エジプト脱出後、パレスチナのシナイ山で、モーセはヤハウェから十戎、すなわち唯一神ヤハウェとの10の約束事を結び、それをヘブライ人に伝えユダヤ教の基礎を作っていきました。

前1000年頃 ヘブライ王国の建設
さて、パレスチナに戻ったヘブライ人たちは前1000年頃ヘブライ王国を建設します(都:イェルサレム)
初代サウル王、二代目ダヴィデ王、三代目ソロモン王です
イェルサレムはユダヤ教の聖地であるのはもちろんですが、イエスキリストが死地からの復活を遂げた地でもあり、ムハンマドが昇天した地でもあるため、キリスト教とイスラム教の聖地でもあるというややこしい土地です

ちなみにミケランジェロは上のモーセだけでなく、ヘブライ王国の二代目ダヴィデ王をモデルとしたダヴィデ像も有名ですね。
実際のダヴィデはユダヤ教徒として生まれた日に割礼という皮を切る儀式を通過しているので包茎ではありません笑
さてさて、ヘブライ王国は交易の中継地として栄えますが前922年に南北に分裂します。
北はイスラエル王国(前922年〜前722年)、南はユダ王国(前922年〜前586年)です。
北のイスラエル王国は初めてオリエントを統一したアッシリアによって滅亡させられ、
南のユダ王国もアッシリアの次のオリエント統一国、新バビロニア王国によって滅びます。
新バビロニアの王、ネブカドネザル二世は約5万人のユダヤ人をバビロンへと強制移住させるバビロン捕囚を行います。
古代の時代に大国を統治する上でこういった強制移住は重要な手立てであったので仕方ないのですが、ユダヤ人たちはこの出来事で団結力を強めたことでしょう。
今なお続くユダヤ教は、紀元前から様々な迫害や強制移住を乗り越えて来たのです!
そう考えると、時”空”を超えるヘブライ人と言えなくもないかもしれません笑