10分でわかる世界史Bの流れ!ギリシャ文明(4)〜ポリス社会の崩壊と統合〜

いつの世界も大国によって小国は踊らされる

【前回までのあらすじ】(3)アテネの民主政治への流れ

前回は、アテネの民主政治が確立する流れを追う中で、ペルシャ戦争が登場しました。この戦争は、大番狂わせでペルシャの敗北に終わりましたが、まだペルシャはギリシャのポリスを滅ぼすことを諦めてはいません!
今回の記事では、大国ペルシャがギリシャのポリスたちを裏で操り内戦をさせ、自滅させようと企む姿を追っていきましょう

今回紹介する世界史から学べることは

いつの世界も大国によって小国は踊らされる、つまり大きな国の都合の良いように小さな国は戦争をさせられるということです

ペルシャ戦争後、ギリシャのポリス世界がまとまろうとする

さてペルシャという大国になんとか勝利したギリシャの各ポリスですが、依然ペルシャは大国です。いつまたペルシャが攻めてくるかもわからないので、各ポリスたちは、ペルシャに対抗できるような同盟組織を作ろうとします

そこで前478年に結成されたのが、デロス同盟です。この同盟はアテネのペリクレス主導で行われました

こうしてギリシャ世界がまとまろうとしている気運が広まり始めますが、その流れが困るのが大国ペルシャです

ギリシャを征服することができなかった、ペルシャからすれば多くのポリスがまとまって1つの大勢力になってしまうことは大きな脅威です。

そこで、ペルシャはこの流れを阻止しようと、アテネに対抗しうるもう1つの大きなポリス、スパルタに外交圧力をかけます。
ペルシャは、スパルタにイオニア人が支配する小アジア(=トルコ)をペルシャ人の支配地域と認めさせる代わりに、アテネと戦えるだけの潤沢な資金を提供することを約束します

これによって、スパルタはアテネを上回る大きな力をつけて、前431年からのペロポネソス戦争というギリシャポリス間の内乱を起こし、勝利します。

ちなみに、ペロポネソス戦争の直接のきっかけは、アテネのパルテノン神殿の再建費用にデロス同盟の資金の一部が使われていたことに他のポリスが憤慨したからと言われています。

どのポリスにとっても、自ポリスの出資金が他ポリスに使われるのは面白く無いですからね

ペルシャによるギリシャ内戦の永久ループ

さて、ペルシャ側からの潤沢な軍資金提供からペロポネソス戦争でアテネに勝利し、ギリシャ世界の覇者となったスパルタですが、当然!スパルタという1ポリスが影響力を強め、ギリシャ世界がまとまろうとすることを許さない大国があります

そうです、ペルシャです笑

先ほど、スパルタに軍資金を提供することで戦争の勝利を支援したペルシャですが、今となってはスパルタも、アテネと同様にただの脅威です

そこでペルシャは、スパルタの勢力を弱めるためにコリントスという、スパルタとともにペロポネソス同盟でスパルタと共に戦ったポリスを支援し、スパルタに対し戦争を仕掛けさせます

これがコリントス戦争です(前395年〜前386年)。たぶん覚えなくても大丈夫です

これでスパルタの勢力は弱まり、コリントスが力をつけます

ギリシャ内乱が約100年続く・・・

さてこんな感じでポリス同士のギリシャ内戦は続きに続きます

・デバイ・スパルタ戦争(前379年〜前371年)
・同盟市戦争(前357年〜前355年)
・第三次神聖戦争(前356年〜前347年) などなど・・・

1つのポリスが覇者となっては、衰退を繰り返していきます

これで得をするのは、決して一時期覇者となった諸ポリスではありません

大国ペルシャです

この内戦の時代に、ギリシャ世界は大きく衰退していきます

戦争で農地が荒れ、民主政は腐敗し好戦的なデマゴーゴス(つまり政治を煽る愚かな人)によって衆愚政治化していきます

そんなギリシャ内戦のループを見事に終わらせ、新たなペルシャの脅威となったのは、ギリシャのポリスのどれでもなく、異邦人マケドニアでした

マケドニア王国とは?

マケドニア王国とは、ギリシャの北方に位置した王国で、諸ポリスからはバルバロイ(異邦人)と呼ばれていた。ポリスという都市国家ではなく、王政を続けていた。

ギリシャが内戦により衰退を始めたことで、侵略・統一へと乗り出す

ギリシャポリス世界を統一させたフィリッポス2世

マケドニア王国のフィリッポス2世という男がマケドニアを大国へと押し上げます

彼はギリシャポリスの1つ、テーベで人質となっている期間にギリシャの戦術を学び、マケドニア王国に輸入します。フィリッポス2世の力により、マケドニアの力は一気に強まり、前338年のカイロネイアの戦いでアテネ・テーベ軍を撃破します。

そして、その勢いのままギリシャ世界をほぼ制圧し、ギリシャポリスたちにコリントス同盟を結ばせます。これによって、ギリシャのポリスは初めて統一し、マケドニア王国はギリシャ・ポリスを支配下に置きます

ちなみにスパルタはマケドニアの支配には屈しませんでした。よっぽどバルバロイが嫌いなんですかね笑

アレクサンドロス大王の東方遠征

さぁ、ギリシャを征服して、次はペルシャか!という中、前336年フィリッポス2世は暗殺されてしまいます

強力な指導者を失ってしまった、マケドニア王国はこのまま急速に衰退・・・・というのが、世界史のセオリーかと思いますがマケドニア王国はひと味違います

フィリッポス2世の子、アレクサンドロス大王もまた優秀な、いやフィリッポス2世以上の指導者だったのです!

(彼は有名な哲学者アリストテレスが家庭教師についていたのですが、そのことも彼の優秀さの要因の1つかと思います)

alexander-the-great-map

アレクサンドロス大王はわずか20歳で王位につき、全ギリシャ軍を率いて東方遠征を行います。

アレクサンドロス大王の東方遠征(1) VSアケメネス朝ペルシャ

内戦でギリシャを混乱させた張本人であるアケメネス朝ペルシャは、マケドニア主導のもとのギリシャ人で構成された軍に征服されます

こんな熱い展開はなかなかないですよね!ギリシャ人たちも、さぞ心高ぶったことでしょう

前333年のイッソスの戦いでアレクサンドロス軍はペルシャのダレイオス3世に大勝します

アレクサンドロス大王の東方遠征(2) VSエジプト

イッソスの戦い勝利後、その勢いのままペルシャへ向かうのかと思いきやアレクサンドロス軍はエジプトへ向かい、アケメネス朝ペルシャの支配から解放します

当時、エジプトはアケメネス朝ペルシャの支配下にあることに不満が高まっていたので、アレクサンドロス大王の征服活動は神から差し伸べられし手のようであったことでしょう

アレクサンドロス大王はエジプト人から崇められ、ファラオ(王)と呼ばれることが嬉しくなり自分の名前をついたアレクサンドリアという都市を建てました(この後70以上のアレクサンドリアが征服した各地に建てられます)

アレクサンドロス大王の東方遠征(3) VSアケメネス朝ペルシャRe;

エジプト平定後、前331年のアルベラの戦いでもアレクサンドロス軍は勝利し、前330年ダレイオス3世の暗殺によってアケメネス朝ペルシャは滅亡します

そんなアレクサンドロス大王の東方遠征は、大国ペルシャの征服でも止まろうとはしません

アレクサンドロス大王の東方遠征(4) 〜そしてインダス川へ〜

さらなる東の果てを求めて、前334年〜前324年と東方遠征を続け、ついにインドのインダス川を超えインドに到着します。更なる東への遠征を王は求めますが、臣下の不満が高まっていたこともあり引き返すことにしました・・・

しかし、その帰路の途中にアレクサンドロス大王は病に倒れ亡くなります

熾烈な後継者争い、ディアドコイ戦争

さて、アレクサンドロス大王は急死し、しかも彼は次の王について明確な遺言を残しませんでした

「最も王たるにふさわしいものに」とだけ遺言を残しましたが、現実では誰もが「我こそが次代にふさわしい王だ!」と立候補し始めたので戦争になりました

アレクサンドロス大王の配下であった将軍たちが支配権をめぐって戦争を行った、それがディアドコイ戦争です

これによって、アレクサンドロス大王の帝国は3分割され、それぞれ

アンティゴノス朝マケドニア
プトレマイオス朝エジプト
セレウコス朝シリア       の3つに分かれました

〜朝の部分はそれぞれの国の王様の名前です。それぞれの場所を地図で確認しておきます

132541417453613127430

(画像出典:ギリシア世界7 ヘレニズム時代 その2

セレウコス朝シリアは支配領域が統治者セレウコスの統治力よりも大きすぎました

セレウコス朝シリアの最東端あたりでセレウコス朝シリアからギリシャ人総督がバクトリアを作り独立
その西側、カスピ海南岸あたりの現在のイラン、つまりペルシャ人本拠地である地域でペルシャ人がパルティアを作り独立します

アレクサンドロス大王の東方遠征が新たな文化を生み出した

さて、アレクサンドロス大王の東方遠征はペルシャ、エジプト、インドなどの各文化を越えて行われたため、文化間の交流が行われました。こうして生まれたのがヘレニズム文化です

ヘレニズム文化とは、ギリシャ人たちが自分たちをヘレネスと自称した通り「ギリシャ人の文化」という意味で、アレクサンドロス大王が征服した東の国の各地でギリシャ文化と自国の文化の交流が行われて生まれた文化ということです

アレクサンドロス大王はマケドニア人ですが、ギリシャの近くの生まれなのでギリシャ文化が大好きなのです

アレクサンドロス大王は各都市にアレクサンドリアを作りましたが、中でもエジプトのアレクサンドリアは発展し、ムセイオンという学術機関で様々な学問が進みました。

というのも、ここには大規模の図書館があったのです。学問の発達に図書館、つまり多数の情報アクセス場は欠かせないですからね!

前4c のギリシャ世界を理解できるマンガ!

ちなみに、お話がギリシャの前4cに入ったので学生さんの大好きなマンガの話をしたいと思います

紹介したいマンガは岩明均さんの「ヒストリエ」

岩明均といえば「寄生獣」でお馴染みですが、彼が描いた「ヒストリエ」もまた傑作です

舞台は、前4cのギリシャ世界で、プルタルコスの「英雄伝」にも登場するエウメネスという主人公目線で史実通り?にお話が進んでいく

前4cといえば、マケドニア人によるギリシャ世界の統一だが、その過程がギリシャ側とマケドニア側の両側の視点から当時のギリシャの雰囲気を楽しく感じ取ることができる素晴らしい漫画です!

manga_jmaf2010

一コマで表すと、こんな雰囲気の楽しい漫画です。ギリシャ世界を肌で感じたい方はぜひ!